●取材ノートから●(01) 2000年6月13日号

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携帯電話ギョーカイの構造

 ある雑誌で「携帯電話と中高生」をテーマにした記事を書くにあたり、郵政省やNTTドコモなどの通信事業者、携帯電話機メーカー、量販店などへ、2000年2月から3月にかけて取材を行いました。今回取材でいろいろ調べていて、その雑誌でも概要は書きましたが、いちばん意外だったのは、日本の携帯電話業界の構造でした。

 「携帯電話会社」という抽象的な言い方をした場合、これはどのような会社を指すと思いますか。NTTドコモとかJ-PHONEとかですか? パナソニックとかNECとかですか? では質問を変えてみましょう。友だちなんかとの会話で「それ、どこの携帯電話?」と聞かれたらどう答えるでしょう。おそらく9割は、NTTドコモやJ-PHONEなどの「通 信事業者」の名を挙げると思います。これが、みんなの頭の中にある「携帯電話会社」のイメージだと思います。

 実は携帯電話業界を牛耳っているのは、この「通信事業者」です。パナソニックとかNECなどの電話機メーカーは、あくまでも通 信事業者への納入業者の一つにすぎず、いわばOEM供給(相手先ブランド供給)というかたちになります。これは家電製品なんかでもよくある話で、例えばフジフィルムの8ミリビデオを実はソニーが作っていたり、というのと、基本的には同じ商取引です。この場合はソニーがフジフィルムブランドの8ミリビデオを生産して、フジにOEM供給したという言い方になります。

 取材で聞いた複数の話を総合すれば、携帯電話機が市場に流れるまでの道筋は、だいたい以下のような感じでしょうか。

 まず通信事業者が、新しいサービスを開始するにあたって、納入業者、つまり電話機メーカーにオリエンテーションをするわけですね。例えばiモードであれば、簡易なインターネットサービスを提供するとか、メール送受信を強化するとか、だいたいのサービスのコンセプトやスペックが知らされる。それに基づいて、メーカーは、サービスを十分に楽しめる機器を開発して、通信事業者に提案するわけです。

 ここで新製品のボディカラーとかも提案されて、最終的に通信事業者が採用機種を決め、じゃあいついつまでに、これは何百万台、という商談成立となって生産開始。生産された機械は通信事業者に納入され、そこで一台一台にROMみたいな電子部品が入れられるのかな、技術的なところはよくわかりませんが、要するに、一台一台に、電話番号が振り分けられて、販売店へ流れていくわけです。

 携帯電話機メーカーにとってのお客様は、エンドユーザーではなく、あくまでも通信事業者です。そして通信事業者は、自社のカタログで各メーカーの製品を自社ブランド商品として掲載します。たとえばNTTドコモのカタログを見てください。メーカー名はどこにも書いていません。ただし、機種名にPとあればパナソニック(松下通信工業)、NはNEC(日本電気)、Dはダイヤモンド(三菱電機)、Fは富士通が生産したものということです。J-PHONEとかの第二電電各社のカタログでは、メーカー名が「by SONY」というように、小さく載っています。携帯電話に詳しい人にとっては当たり前の話でしょうが、案外、知らない人が多いのではないでしょうか。

  携帯電話という通信サービスを大きく2つに分ければ、「回線サービス」と「機器販売」に分けられます。昔々の黒電話時代は、両方を電電公社が手がけていました。自由化に伴って、回線はNTTと契約するけれども機器は量販店で好きなメーカーのものを買う時代になりました。でも携帯電話の世界では、再びNTTドコモなどの通信事業者が「回線サービス」と「機器販売」をセットで手がけています。世界的な視野で見たとき、この日本方式はかなり特殊だそうです。市場の独占につながるというので、両方を手がけることを禁止している国もある、とのことでした。

  とりあえず今回は基礎知識編ということで、ここまで。次回は、もう少し踏み込んだ話題を提供したいと思います。

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