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●onfieldレポート●(03) 2002年1月1日号
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福祉にやっぱり必要な経営力 昨年12/17、東京・九段の日刊工業ホールで、「W&Pシンポジウム 〜21世紀、車いす産業の行方〜」が開催されました。これを主催したのは車いす姿勢保持協会。車いすなどを製造・販売する事業者で構成される業界団体で、国の指導により1998年に車いす工業会と姿勢保持協会が合併し、誕生した組織です。 車いすについては、以前も当コーナーで連載コラム「間違いだらけの車いす選び」を掲載しましたが、元々は雑誌「WE'LL」で「車いす世界の摩訶不思議」という連載を始めたのが最初の関わり。穴だらけの福祉制度、その穴にすがる人々、穴でまんまと商売する人々などをレポートし、良識ある人からは「よくぞ書いてくれた」と褒められ、そうでない人からは「これ以上書くな」「取材お断り」とも言われた、ちょっぴりセンセーショナルな連載記事でした。実は、前者の一人であった車いす業者の方が、僕のHPを発見してくださり、シンポジウムのご案内をいただいた、というワケです。 前述の連載コラムとも内容が重なりますが、車いすの支給制度は、昭和25年に告示された内容が思想的にそのまま生き残っていて、戦後と今ではまったく時代状況が異なっているにもかかわらず、若干のマイナーチェンジや制度運用の見直し(要するに解釈見直し)レベルで、何とか辻褄をあわせながら今日に至っています。「可哀想で貧困な障害者に、国が車いすを恵んであげよう」という思想で成り立っていて、車いす利用者がどんどん自立し、外に出始めた今では、あちこちに無理が生じています。いわゆる制度疲労とも言える状況なのですね。 それ故に起こっている問題については、連載コラムで見ていただくとして、今回のシンポジウムでは「車いす業界がいかに経営力をつけていくか」が大きなテーマになっていたという気がします。というのも、2000年4月の公的介護保険スタートにより、業界には激震が襲っているからです。普通の商売と同様、利用者と業者の取引、つまり相対(あいたい)契約で車いすが市場へ流れていく、という新しい流れがどどっと始まったわけです。 それまではほとんどの場合、国や地方自治体のお金で車いすが利用者に支給(一部レンタル)されていました。ですから車いす業者は、窓口となる地域の福祉機関や、車いすを手配する医者や専門職といった中間ユーザー相手に商売していれば良かった。つまり、客は利用者ではなく、あくまでも行政や中間ユーザーだったわけですね。 講演内容によれば、行政や中間ユーザーの顔色をうかがえば商売が成り立っていた障害者制度内の車いすは、何と6割にまで落ちてしまったそう。今まで利用者相手の商売をしていなかった車いす業者にとっては、経営環境の大きな変化です。客が利用者に移ると、当然、普通の商売のように安いモノに走る人、高機能のモノを求める人、場合によってはデザイン性を求める人も顕在化してくる。 シンポジウムを見ていて歯痒かったのは、これだけの激震が二年近く前に起きていながら、今さら「どうしようか」を考え始めている点です。遅いです。あまりに遅すぎます。もちろん、これには理由もあって、業者のほとんどは零細で、職人のような作り手が経営者を兼ねている場合も少なくない。その日の仕事に追われていて、国レベルの制度改革の動きもわからず、経営力をつける術もなく、ただただ途方に暮れているわけです。 雑誌の連載時には、制度に守られて現状に甘んじている業界を時折非難もしたわけですが、一方では経営力アップのための支援が必要なのも確か。車いすの世界にも、小倉昌男さんのような方が登場してくれればいいのですが。 |
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